触覚ディスプレイの開発を行うEricさんにお話をうかがいました。
今回考案したアイデアの紹介をお願いします!
指先の触覚でものの形、構造を感じられるディスプレイを開発しています。
Ericさん 視覚障がいのある方向けに、触覚でものの形、細かな構造までを感じられるDot Padという触覚ディスプレイを開発しています。これは世界初のデバイスで、形状や文字などの情報を入力するとディスプレイに立体的な点字で表示され、それに触れることで情報を伝える仕組みになっています。
例えば、レースカーの形状を高精細なグラフィックに変換し、触れることでリアルなデザインを感じてもらうことができます。また、レースデータを触覚グラフィックに変換するための技術を開発し、Dot Padを使って、目の前で進行しているレースの様子をリアルタイムで伝えることもできます。
このDot Padを使うことで視覚障がいのある方に、未体験の没入感のあるレース体験を提供します。
発案のきっかけは何ですか?
視覚障がいのある友人の困りごとを、この手で解決したいと思いました。
Ericさん 2014年、アメリカのシアトルにいたとき、視覚障がいのある友だちが大きな点字の本を持っているのを見て驚きました。持ち運ぶのが大変そうで、なんとかしてあげたいと思うようになりました。今まで3社のスタートアップを経験しましたが、このプロジェクトが成功すれば、世界中の視覚障がいのある方の暮らしを、豊かにすることに貢献できると思います。
実証に向けて苦労していることは何ですか?
種類が多く、複雑な日本の言葉への対応は想像以上の難しさでした。
Ericさん 最初は時計型のデバイスドットウォッチを開発していましたが、日本に持って行こうとすると、日本の言葉は漢字、ひらがな、カタカナなど情報量がとても多く、時計型のデバイスではメモリが足りないと気づきました。
今回はサーキットでの実証実験になりますが、レース情報はAPIも公開されていないので、うまく連携できるか不安なところもあります。しかし、エンジニアの世界に不可能はないと思っているので、リアルタイムのレースを触覚ディスプレイで表現することに挑み、将来的にはより幅広く使えるプラットフォームの構築につなげたいと思います。
本コンテストに参加した理由を教えてください!
コンセプトに共感し、私たちのデバイスの検証にふさわしいと感じたからです。
Ericさん Mobility for ALLのコンセプトにふれ、「以前は目が見えていたけれど、今は見えなくなってレースを楽しめない」という視覚障がいのある方が大勢いると知りました。サーキットでの実証実験というのはとてもユニークで、我々が取り組むべき領域だと思い、エントリーすることにしました。
本コンテストでの挑戦、実証内容はどういったものになりますか?
レースカーの位置を点字で表現し、レースの動きをリアルタイムで伝えていきます。
Ericさん Dot Padを使った実証実験を行います。
Dot PadにはiPhoneが接続されていて、サーキットで行われているレースの情報が、iPhoneを経由して触覚情報として立体的に表示されます。レースカーは、サーキットの地図上に三角形で表示され、それぞれの位置などを点字であらわす仕組みです。今回フォーカスしているST-Xクラスは5、6台が走行する予定で、各マシンの位置などが三角形で示されます。
地図の情報ページからボタンを押すと、レースのラップタイム情報などをオフィシャルサイトから取得し、リアルタイムで表示することも可能です。
iPhoneでレース情報を取得し、リアルタイムで点字表示するDot Padを通して、まったく新しいレース体験をしていただきたいです。
最後に本コンテストにかける想いをお願いします!
Dot Padが普及すれば、世界を変えられると確信しています。
昔は、パソコンもインターネットも大学や一部の企業でしか使われていませんでしたが、今は世界中に普及しています。今回の実証実験がきっかけとなり、Dot Padが将来、必要とするすべて人のもとに行き渡れば、世界を変えると思っています。